スパダリ副社長の溺愛がとまりません!
「じゃあ、行ってきます」

朝が来るのは早い。私より三十分早く出勤する亮平さんは、玄関で見送る私にキスをしてくれた。

「いってらっしゃい、亮平さん」

小さく手を振る私に、彼は笑みをみせてくれる。こんな何気ないやり取りに幸せを感じながらも、自分に気合いを入れた。

今日は貴也さんと、カタログの打ち合わせをする予定になっている。

萌さんの話まで出てくるのか分からないけれど、ビジネス絡みでプティの店を指名された理由が今なら分かる。

中崎さんは、貴也さんと亮平さんのどちらかと、萌さんは政略結婚をする可能性があると言っていた。

冷静になって考えてみれば、相手は貴也さんかもしれない。だから、浅井百貨店のテナントにある店を使いたかったのかも……。

「それなら、亮平さんは関係ないってことだもんね」

そうよ、前向きに考えよう。いつもどおりに支度を済ませると、会社へ向かった。
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