スパダリ副社長の溺愛がとまりません!
「それでは久遠寺さん、カタログから注文させていただきます」

貴也さんとの打ち合わせは、一時間ほどで終わった。貴也さんも亮平さんと同じく、御曹司で副社長。

副社長室は広々とした開放感溢れる部屋で、革張りの茶色のソファーが座り心地いい。

「ああ、任せたから。それから、呼び方は“貴也”でいいよ。芸名みたいなもんだから、遠慮することないし」

「分かりました……」

なんだか、言い方にけだるさを感じるのは気のせいか。というより、貴也さんはどこか諦めに似た雰囲気を醸し出している。

同じ御曹司でも、いつもハツラツした印象の亮平さんとは違っていた。

「あの、貴也さん。プティのお店は、久遠寺グループと縁があるんですか? 今回ご指名だったんで……」

探りの意味もあって聞いてみると、貴也さんは頷いた。

「プティが直接……というよりは、浅井百貨店とな。俺の幼なじみが浅井百貨店の娘なんだよ」

「ええ⁉︎ そうなんですか?」

わざとらしく驚いてみせたけど、案外アッサリ教えてくれて、そっちの方がビックリだった。
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