神鳴様が見ているよ
カラダの熱がどんどん冷めていく。
エアコンが効いていることに、ようやく気がつく。
肩の圧は無くなったけど、ぴりぴりとした、痛みが残った。
「俺の、独りよがり……、はっ、みっともねー」
蒼が立ち上がって、足音はドアに向かう気配。そして、ドアノブを開ける音。
「そこ、キレイにしとけよ」
顔を上げて、ドアの方を向くと、蒼の後ろ姿をもう半分、扉が覆ってしまってた。
「なんにも、なかったように、な」
言い終わると同時に、静かにドアが閉まった。
床を見るとすぐ近くに、私の下着が残ってる。
水滴と水染みは、蒼と戯れた所の跡を残して広がっている。
肩の痛みを忘れさせ、思い出したかのように、痛みだす下半身。
寒気がして、ぶるっと、体が揺れた。
自分のカラダを抱きしめる。
ついさっきまで、抱きしめられてアツかったのに。
手放した熱を惜しむなんて。
私が悪い、全部。蒼を傷つけた、もう許されることはない。
今さら、泣いても、謝っても、後悔しても、遅い。
床の自分の跡に触れ、お腹を押さえる。
(私についたキズなんてこんなもの。私が蒼につけたキズの方が非道い)
「ふ、拭かなきゃ。キレイにしなきゃ、ね」
なにもなかったように、しないといけないんだ。
窓に手を置いて、体を支えるように立ち上がり、カーテンを開ける。
目には青空、耳にはセミの鳴き声が飛び込んできた。
あちこちの残ってる雨の跡が強い日差しで、キラキラしてまぶしくて、瞳を細める。
神鳴様が来たことなんて、なかったみたい。
あの神様の奏で、も跡形もなくて。
外は、なにもなかったようになってる。
私も、なにもなかったようにしなくちゃ。
そのあと帰るまで、蒼は、本当に何もなかったように、ふるまっていた。
だから、私も普段通りの態度でいる。
違うのは、私と目を合わそうとしないこと。
たまに、不意に目が合うと、ギラっと、音がしそうなくらいの強い光を宿した瞳を向ける。
でも、そらすわけにはいかない。怯える心を顔に出さないようにして、受け止めなければ。
蒼の怒りを感じなくては、いけない。
謝っても、許されることのない怒りを。
エアコンが効いていることに、ようやく気がつく。
肩の圧は無くなったけど、ぴりぴりとした、痛みが残った。
「俺の、独りよがり……、はっ、みっともねー」
蒼が立ち上がって、足音はドアに向かう気配。そして、ドアノブを開ける音。
「そこ、キレイにしとけよ」
顔を上げて、ドアの方を向くと、蒼の後ろ姿をもう半分、扉が覆ってしまってた。
「なんにも、なかったように、な」
言い終わると同時に、静かにドアが閉まった。
床を見るとすぐ近くに、私の下着が残ってる。
水滴と水染みは、蒼と戯れた所の跡を残して広がっている。
肩の痛みを忘れさせ、思い出したかのように、痛みだす下半身。
寒気がして、ぶるっと、体が揺れた。
自分のカラダを抱きしめる。
ついさっきまで、抱きしめられてアツかったのに。
手放した熱を惜しむなんて。
私が悪い、全部。蒼を傷つけた、もう許されることはない。
今さら、泣いても、謝っても、後悔しても、遅い。
床の自分の跡に触れ、お腹を押さえる。
(私についたキズなんてこんなもの。私が蒼につけたキズの方が非道い)
「ふ、拭かなきゃ。キレイにしなきゃ、ね」
なにもなかったように、しないといけないんだ。
窓に手を置いて、体を支えるように立ち上がり、カーテンを開ける。
目には青空、耳にはセミの鳴き声が飛び込んできた。
あちこちの残ってる雨の跡が強い日差しで、キラキラしてまぶしくて、瞳を細める。
神鳴様が来たことなんて、なかったみたい。
あの神様の奏で、も跡形もなくて。
外は、なにもなかったようになってる。
私も、なにもなかったようにしなくちゃ。
そのあと帰るまで、蒼は、本当に何もなかったように、ふるまっていた。
だから、私も普段通りの態度でいる。
違うのは、私と目を合わそうとしないこと。
たまに、不意に目が合うと、ギラっと、音がしそうなくらいの強い光を宿した瞳を向ける。
でも、そらすわけにはいかない。怯える心を顔に出さないようにして、受け止めなければ。
蒼の怒りを感じなくては、いけない。
謝っても、許されることのない怒りを。