いつも、雨
午前中は人でごった返す総合病院も、夕方には閑散としている。
たまに訪れる入院患者を見舞う客ぐらしいしか人が通らない。
しばらくすると、軽やかな足音が聞こえてきた。
頬を蒸気させて、少し前のめりで、領子がやってきた。
……痩せた……いや、やつれたのかな……。
報告書の写真通り、頬の丸みが削げ落ちている。
痛々しい気もするが、美しさを損なうどころか、ますます大人の女性としての美貌が冴えたようだ。
キラキラと、薬指が光っている。
夫となる橘千歳氏から贈られたダイヤの立て爪リングではなく、要人が握らせた指輪をつけているようだ。
それだけで、満足だった。
要人は、領子がエレベーターに乗り込むのを見守ってから、立ち上がった。
仕事に戻ろう。
どれだけ働いても、全然たりない。
問題は山積みだ。
一つ一つ解決していかなければいけない。
まあ……がんばりましょう。
懐に忍ばせた錦のお守り袋を軽く握った。
たまに訪れる入院患者を見舞う客ぐらしいしか人が通らない。
しばらくすると、軽やかな足音が聞こえてきた。
頬を蒸気させて、少し前のめりで、領子がやってきた。
……痩せた……いや、やつれたのかな……。
報告書の写真通り、頬の丸みが削げ落ちている。
痛々しい気もするが、美しさを損なうどころか、ますます大人の女性としての美貌が冴えたようだ。
キラキラと、薬指が光っている。
夫となる橘千歳氏から贈られたダイヤの立て爪リングではなく、要人が握らせた指輪をつけているようだ。
それだけで、満足だった。
要人は、領子がエレベーターに乗り込むのを見守ってから、立ち上がった。
仕事に戻ろう。
どれだけ働いても、全然たりない。
問題は山積みだ。
一つ一つ解決していかなければいけない。
まあ……がんばりましょう。
懐に忍ばせた錦のお守り袋を軽く握った。