いつも、雨
しかし、車は特に渋滞にハマることもなく順調に進んだ。

今日のホテルから、自宅がさほど遠くなかったことが恨めしい。



「……おそらく、領子さまが無事に帰り着かれたか……確かめられるでしょうね。」

要人がつぶやく。


領子も、渋々うなずいた。

「わたくしも、そう思います。」



いつもなら、なるべくウェットにならないよう、領子はクールに、要人は笑顔で別れるのだが……さすかに今日は事情が違う。

どんな状況になっても、気持ちは変わらない……それをちゃんと伝えたくて……


「……少し、乱暴ですが……」

要人はそう言って、グイッと領子を引き寄せた。


勢いよく下着をストッキングごと下げると、指で潤いを確かめた。

領子は、文句も言わず、されるがまま……。


要人は、素早く自分の股間を解放し、領子を座位で貫いた。


本当に乱暴だった。

いつもと違う、優しい蕩けるような愛撫なしの行為に、領子は少しだけ震えた。

思い出したくないことを思い出してしまった。


ろくな前戯ないままに無理やりの性交しかしてこなかった夫との夜……。


でも、恐怖はすぐに快楽で上書きされた。

全然違った。

さっきまでの残り火なのか……相手が要人だからか……酔っているからか……領子の身体は、嫌がらなかった。

むしろ、美味しそうに、要人を味わっている。


要人は領子の眉間に寄った縦皺にそっとキスしてから、小声で尋ねた。

「痛くない……ですよね?」


領子はコクリと頷いて、……でも、すごく恥ずかしくて……要人の首に両手を回して、ぎゅっとしがみついた。


こんなにも簡単に感じてしまうなんて……あさましい……。


要人は領子の葛藤をあざ笑うかのように力強く突き上げ、翻弄した。



「……あの信号まで。」

要人が小声で囁くと、領子は窓の外を見た。

自宅は、すぐそこまで近づいていた。


「……いや……。角を曲がるまで……。」

思わずそうねだってしまった。


「それでは、ご自宅の前までになってしまいます。……続きは、明日、してさしあげますから。」

そう言って、要人は、領子が言葉を発せないように奥を穿った。


声にならない声を必死でかみ殺して……領子はあっさりと達した。
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