いつも、雨
「領子さま。」
こんな時なのに、要人の声は、領子には優しい。
『はい!』
「旦那さまと奥さまに、お伝えください。すぐにこちらに来られますように。いつもの第二日赤です。」
『わかりました!行きます!』
……領子さまもいらっしゃるのか……。
要人の緊迫した心が、少しほぐれた。
「お待ちしています。俺は、ココで、病院からの連絡を待ってますので。」
病院へは、すぐに走れる距離だ。
とりあえず、入院のための荷物を作って……。
「失礼します。」
誰もいないけれど、要人は一応そう声をかけてから大奥さまのお部屋の入った。
独り暮らしの大奥さまは、こんな時のために、入院に必要な荷物の仕度をしていた。
そのことは以前から聞いていたが……まさかこんなものまで準備されていたとは……。
「入院時」と書かれた箱の隣には、「死亡時」の箱まであった。
……恐る恐る開けてみた。
中には、弁護士宛ての封書、家族宛ての封書のほかに、要人宛ての封書まであった。
ほかに、急死された時に連絡する人々のリスト、棺桶に入れて欲しいもの、余人の目に触れないよう処分してほしいもの……などが納められていた。
要人としては、大奥さまが自分に何を言い残したいのか……気にはなったが、厳重に封緘印まで押されている封書を不用意にあけることはできない。
あきらめて、箱を閉じた。
とりあえず、東京からやってくる天花寺家のご家族が泊まるかもしれないので、布団の準備をした。
あいにくの梅雨、しっかり雨が降っているので、外に干すことはできない。
布団乾燥機2台を順に使って、湿気た布団をふわふわにしておいた。
それから……こんな時だし、お茶菓子を買い揃えるのはおかしいかな。
とりあえず、掃除しとくか。
何かしてないと落ち着かない。
大奥さまのことを心配するあまり、要人はかなりテンパっているらしい。
時間が……ものすごく長く感じた。
2時間後に、ようやく病院に付き添った通いのお手伝いさんから連絡が来た。
『まだ意識はお戻りになりませんが、とりあえず、命の危機はなくなられたようです。』
「……そうですか。よかった……。」
ホッと脱力した。
こんな時なのに、要人の声は、領子には優しい。
『はい!』
「旦那さまと奥さまに、お伝えください。すぐにこちらに来られますように。いつもの第二日赤です。」
『わかりました!行きます!』
……領子さまもいらっしゃるのか……。
要人の緊迫した心が、少しほぐれた。
「お待ちしています。俺は、ココで、病院からの連絡を待ってますので。」
病院へは、すぐに走れる距離だ。
とりあえず、入院のための荷物を作って……。
「失礼します。」
誰もいないけれど、要人は一応そう声をかけてから大奥さまのお部屋の入った。
独り暮らしの大奥さまは、こんな時のために、入院に必要な荷物の仕度をしていた。
そのことは以前から聞いていたが……まさかこんなものまで準備されていたとは……。
「入院時」と書かれた箱の隣には、「死亡時」の箱まであった。
……恐る恐る開けてみた。
中には、弁護士宛ての封書、家族宛ての封書のほかに、要人宛ての封書まであった。
ほかに、急死された時に連絡する人々のリスト、棺桶に入れて欲しいもの、余人の目に触れないよう処分してほしいもの……などが納められていた。
要人としては、大奥さまが自分に何を言い残したいのか……気にはなったが、厳重に封緘印まで押されている封書を不用意にあけることはできない。
あきらめて、箱を閉じた。
とりあえず、東京からやってくる天花寺家のご家族が泊まるかもしれないので、布団の準備をした。
あいにくの梅雨、しっかり雨が降っているので、外に干すことはできない。
布団乾燥機2台を順に使って、湿気た布団をふわふわにしておいた。
それから……こんな時だし、お茶菓子を買い揃えるのはおかしいかな。
とりあえず、掃除しとくか。
何かしてないと落ち着かない。
大奥さまのことを心配するあまり、要人はかなりテンパっているらしい。
時間が……ものすごく長く感じた。
2時間後に、ようやく病院に付き添った通いのお手伝いさんから連絡が来た。
『まだ意識はお戻りになりませんが、とりあえず、命の危機はなくなられたようです。』
「……そうですか。よかった……。」
ホッと脱力した。