いつも、雨
「他のかたにしてきたこと、これからはわたくしだけに、してください。」
震える声でそう言って、領子は要人にしなだれかかった。
ふわりと、イイ香りが要人の鼻孔をくすぐる。
……この香りだ……。
いつも領子から感じる、やわらかい、心地よい香り。
ずっと、こうして……そばにいてほしいのは、俺のほうだ。
要人の中の理性の鎖がきしんでいる。
領子への激情が、鎖を断ち切りたいと、騒ぎ始めた。
まだ、ダメだ……。
相手は、中学生になったばかりなのに……。
要人は両手の拳を知らず知らずのうちに握りしめていた。
爪が食い込む痛みよりも、鼓動の激しさよりも……領子の熱と香りが要人を支配する。
要人は、息をついて……くるりと雪見障子に背中を向けて座り直した。
肩に寄りかかっていた領子は、突然支えを失ってよろけた。
きゃっ……と、小さな悲鳴。
「しっ。」
要人はかすかな声でたしなめながら、領子の両脇を持って抱き寄せた。
突如、要人の胸にかき抱かれて、領子は、うれしいより、混乱した。
え!?
なに!?
どうして!?
これ……え?え?……え~~~!?
抱かれてるの!?
え!?
キャッ!
嘘!?
ギュッ……て……背中、ギュッて……抱きしめられてるっ!?
きゃ~~~~~~~~っ!!!!
声に出さずにじたばたしている領子に、要人は苦笑した。
……やっぱり、このまま押し倒すのは……かわいそう……か。
要人は領子の背中を優しく撫でて、それから至近距離で綺麗な瞳を覗き込んだ。
領子は、うっとりと要人を見上げていた。
……ちゃんと、女の表情してる……。
要人が気遣う以上に、領子は子供ではないのかもしれない。
少なくとも、愛情を注げば、溺れて、用意された順風満帆な人生を投げ捨ててしまう程度には、怖いもの知らずの乙女に育ったようだ。
要人は表情を引き締めて、領子の耳許に唇を寄せて囁いた。
「約束して。」
「……約束?なぁに?」
ただ抱きしめるだけで、領子はこれまで以上に要人に甘えた声を出すようになった。
わかりやすすぎる。
これじゃ、無理だ。
震える声でそう言って、領子は要人にしなだれかかった。
ふわりと、イイ香りが要人の鼻孔をくすぐる。
……この香りだ……。
いつも領子から感じる、やわらかい、心地よい香り。
ずっと、こうして……そばにいてほしいのは、俺のほうだ。
要人の中の理性の鎖がきしんでいる。
領子への激情が、鎖を断ち切りたいと、騒ぎ始めた。
まだ、ダメだ……。
相手は、中学生になったばかりなのに……。
要人は両手の拳を知らず知らずのうちに握りしめていた。
爪が食い込む痛みよりも、鼓動の激しさよりも……領子の熱と香りが要人を支配する。
要人は、息をついて……くるりと雪見障子に背中を向けて座り直した。
肩に寄りかかっていた領子は、突然支えを失ってよろけた。
きゃっ……と、小さな悲鳴。
「しっ。」
要人はかすかな声でたしなめながら、領子の両脇を持って抱き寄せた。
突如、要人の胸にかき抱かれて、領子は、うれしいより、混乱した。
え!?
なに!?
どうして!?
これ……え?え?……え~~~!?
抱かれてるの!?
え!?
キャッ!
嘘!?
ギュッ……て……背中、ギュッて……抱きしめられてるっ!?
きゃ~~~~~~~~っ!!!!
声に出さずにじたばたしている領子に、要人は苦笑した。
……やっぱり、このまま押し倒すのは……かわいそう……か。
要人は領子の背中を優しく撫でて、それから至近距離で綺麗な瞳を覗き込んだ。
領子は、うっとりと要人を見上げていた。
……ちゃんと、女の表情してる……。
要人が気遣う以上に、領子は子供ではないのかもしれない。
少なくとも、愛情を注げば、溺れて、用意された順風満帆な人生を投げ捨ててしまう程度には、怖いもの知らずの乙女に育ったようだ。
要人は表情を引き締めて、領子の耳許に唇を寄せて囁いた。
「約束して。」
「……約束?なぁに?」
ただ抱きしめるだけで、領子はこれまで以上に要人に甘えた声を出すようになった。
わかりやすすぎる。
これじゃ、無理だ。