サクラチル
病室の前に立てば、小沢奏の名前がある。



怖くて、いまから見るであろう現実からどうしようもなく逃げたくなる。



嘘だと言ってほしい。



ただの冗談だって。



集中治療室の中に入ることは出来なくてガラス越しにいる彼を見つめる。



そこに広がるのは真っ白な部屋。



たくさんの機械に繋がれた奏。



繋がれた機械は同じ音を規則正しく流した。



そして、ベットには痛々しい奏の姿がある。
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