サクラチル
それから、話しが聞き終わると奏での病室へ音を立てないように静かに入る。



病室の中には奏しかいなかった。



ベッドにスヤスヤと気持ちよさそうに眠る奏はもう二度と私の名前を呼んではくれない。



そして、奏の隣に静かにイスを出して座る。



病院の窓から差し込む夕日が本来藍色の髪を燃えるような真っ赤に染める。
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