サクラチル
あの子が、泣いてる



そう思うだけで、心の底から出てくる愛しさは



行き場を無くして儚く消える。



これで最後だと言わんばかりに



唇に暖かさをのこして消えていくのを



止めようと必死に手を伸ばしても彼女には届かない。



きっと小さな体で泣いているのに



抱きしめて、愛の言葉を掛けてあげたいのに。



いつも、太陽のように綺麗な笑顔で笑うあの子が涙を流している。



それなのに、



俺は、



誰だか思い出せない。
< 89 / 169 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop