君の声が、僕を呼ぶまで
「あれ…沙羅…怪我したのかな?」


男の人に背負われて、こっちにやって来るのは、今しがた植木さんとのやり取りでふと頭をよぎった、中学からの同級生…

厳密に言うと幼馴染の沙羅だ。


僕は後ろ手で保健室のドアを閉めて、駆け寄ろうとしたけど。

…何だか、そうしちゃいけない気がした。


沙羅を背負っている、多分、先輩だろうけど、彼は僕と同じ目をしている。

僕が相川さんに向けている視線と、同じような視線を、背中越しに沙羅へと向けている。


そんな気がした。
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