君の声が、僕を呼ぶまで
「ねぇ、小春、さっきの事だけど…」

大好きなミルクパンを二口だけ齧った後、お父さんとお母さんのやり取りを見ていたサラが口を開いた。


「小春はさ、本当はちゃんと人間の言葉を話せるんだから…僕より小春の方が『おはよう』って言ってあげた方が、お父さんもお母さんも、喜ぶはずなんだ…」

私は、サラダを口に運んでいた手を止めた。



…分かってる。

……そんなの、痛いくらいに分かってる。


サラが話してくれるのは、私にだけ。


だって、サラの言葉を理解出来るのは、私だけ。

そして、私の言葉を理解出来るのもまた、サラだけ。
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