君の声が、僕を呼ぶまで
最初は、寝起きのちょっとした、売り言葉に買い言葉というやつだった。

よくあるような、冗談のやり取り。

別に本気で喧嘩なんかしてない。


でもきっと、サラは、ずっとそう思っていたんだろう。

ずっと、私に、伝えたかったんだろう。




学校までの道すがら、いろんなモノに目を向ける。


空は、青という青のグラデーションで果てしなく広がっている。

雲は、誰と待ち合わせするでもなく、風に身を任せ、ゆっくりと漂っている。


昨日の夕方に降り始めた雨は、夜中のうちに止んだらしい。

あちらこちらから眩しく反射する光の粒は、昨夜の雨の小さな落し物。


青い葉の上に留まっていたその雨粒がポタポタ落ちて、そこだけにまた、小さな小さな雨の世界が繰り広げられている。
< 122 / 389 >

この作品をシェア

pagetop