君の声が、僕を呼ぶまで
そのうちの一粒が、私の頬に触れた。

こんなに小さいのに、ほんのりとした冷たさをしっかりと感じさせる事に驚く。


見上げると、木々の隙間から、陽の光が差し込んでいる事にも気付いた。

春は過ぎ、少しだけ日差しは強くなったけれど、まだ柔らかい暖かさを帯びている。



「お昼、縁側で日向ぼっこするのが最高に気持ちいいんだ」

サラが、「羨ましいだろう」と誇らしげに言うので、「もうおじーちゃんだね」とふざけ合った事がある。


その時、ポツリと教えてくれた言葉を思い出す。

「お母さんは縁側で僕をブラッシングしながら『小春は、サラとどんな声でお話してるのかしら。いつかまた、私達も小春の声を聞ける日が来るのかしら』って言ってたよ」
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