君の声が、僕を呼ぶまで
「小春ちゃんは、お喋りが出来ません!」

さっきまでの空気はなんだったんだろうか。

一転、驚くくらいに明るい声で言った。


…だよね。

私にだって、私の機密事項になりそうな事なんて、それくらいしか思い当たらなかった。

なのに、えらく重厚な雰囲気で言うので、私本人ですら知らない秘密があるのかとさえ思った。


実は雪人先生の前で昼寝をしている時に変な寝言を言ってるとか、そんなのだったら恥ずかしくてどうにかなっちゃってたと思う。


「えっと、お喋りが出来ないって、どういう事なの?」

華ちゃんが、首を傾げる。


そう、それが普通の反応。

だから、今更、傷付く事なんて…。

本当は慣れない。

この痛みには、慣れちゃいけないと思う。


だけど、一番慣れちゃいけないのは、この現状に甘え続ける事。
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