君の声が、僕を呼ぶまで
そして私は、中学のクラスに再び足を踏み入れる事はなく、卒業式にすら参列せず、ただひたすら、新しく始まる高校生活へ僅かな期待の想いを馳せながら、短い様で長かった義務教育に幕を下ろした。


長く長く、早く終われと何度も祈って待ち侘びた卒業式。


お母さんが、担任の先生が届けてくれた卒業証書を持った私とサラを、一緒に写真に撮ってくれた。

本当は、学校で友達と笑ってる写真を撮りたかったんだろうな…


「小春、卒業おめでとう。サラがいてくれて良かったなぁ」

お父さんがサラの頭を撫でた。

「今日はお祝いに小春の好きな唐揚げと、ご褒美にサラにも何か奮発してあげなきゃね」

と、お母さんも笑った。


それが中学最後の良い思い出。
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