君の声が、僕を呼ぶまで
だから、気に食わなかった。

『雪人先生』って、心の中で呼んでる子の事を。


だから、邪魔だと思った。

華だけが特別に思っていた保健室を1年間も占領していた子の事を。


だから、許せなかった。

華とは違って、雪人先生に名前で呼ばれているその子の事を。


だから、生まれて初めて、悪意を持って、人を傷付けた。

確実に的確に、心を抉りにいった。

きっと、これが一番効果的だって、分かったから。




「本当は喋れるくせに、もう何年も喋ってないなんて、ほんと気持ち悪い」




小春っちは、想像していたよりももっとずっと、この世の終わりのような顔をした。
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