君の声が、僕を呼ぶまで
「桜子の部屋も久しぶりだなぁ」

「勝手に座らないでよ」

トレイを自分の机に置いて、私のベッドに座っている雪兄ぃを睨む。


「一緒に寝る?」

「バカ言わないで」

「小さい頃は一緒に寝てたじゃん」

…腹が立つ。


「そうだね、雪兄ぃが泣き止まないから、私が一緒に寝てあげてたもんね」

ふんっと、これで少しは黙るだろうと反撃して言ったら。

グイっと引っ張られ、私の視界が反転した。


「こないだは、桜子の方が泣いてたじゃん」

まただ。

また、雪兄ぃが、私の視界を覆うようにかぶさっている。

「…ちょっ!」

「大声出して、おばさん呼ぶ?」

「……っ」


「俺って、学校でもここでも、信頼あるからなぁ」

「猫被り」

「桜子もでしょ、外ではいい子ぶって。やっぱ血が繋がってるだけあるんだなぁ」

雪兄ぃが、クスクス笑う。
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