君の声が、僕を呼ぶまで
「そういえば、冬島君は、別の子の送り迎えもしてるねぇ」

「え…?」

「人気者は大変だ」

「何、それ…」


沙羅よりも、もっと大事な子がいるの?

私が困惑を隠しきれずにいると、雪兄ぃは、ますます楽しそうな顔をする。


「毎朝、律儀に保健室まで送って来るよ。まさにお姫様を守る騎士って感じ」

「毎朝、保健室…?」

…あれ、ちょっと待って…?

「桜子も、冬島君に『守ってください』ってお願いすれば?」

私の思考を遮るように、雪兄ぃが続けた。

「誰が…っ」

今度は、私の言葉を遮るように、唇を指でなぞる。


「…どいて」

「従兄弟だから、本当に何もしないって思ってる?」

「先生だから、何もしないって思ってる」

「だから、男でもあるって、言っただろ」


おでこに、首筋に、雪兄ぃの唇が触れる。
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