君の声が、僕を呼ぶまで
私達は、顔を見合わせた。

もうワンテンポ早く気付けていたら、もうワンテンポ早く動けたかもしれない。

冬島先輩がドアを開けるより早く、内側からドアが開いた。

ドアが開いたと思うより早く、小春が飛び出してきた。

小春が飛び出してきたと気付いてから、ようやく、私の身体は動き出した。


「小春、待って!」

あぁ、やっぱり、もうワンテンポ早かったらって、後悔してる。

保健室の方から、冬島先輩が「華、お前、何て事…!」と言っている声が聞こえた。


やっぱり、さっきの声は、山崎先輩だったのか。

妙にストンと腑に落ちるのを感じながら、私は小春を追いかけた。
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