君の声が、僕を呼ぶまで
「桜子、小春ちゃん!」

沙羅が小春のカバンを持ってきてくれた。

「あ、沙羅、ありがと…」


そのずっとずっと後ろに、男子が立っている。

確か、今朝、話題に上がったばかりの、沙羅の幼馴染の飯田君。

何度か、話した事がある。

山崎先輩のクラスの保健委員だっけ。

そうだ、この前、保健室で少し話したんだった。

でも、今はそんな事はどうでもよくて。


「ほら、小春、帰ろ?」

小春はまたしても、首を振る。


絶対的な拒絶。

元々が、ようやく今朝、まともに話したばかりだ。

あまり事態を上手く呑み込めてないなりに、とてつもなく危ういという事は分かる。
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