君の声が、僕を呼ぶまで
小春に向けて石を投げ始める子供達。

そんな中、小春は、必死に僕を庇っていた。


無抵抗なモノを苛める事に快感は伴うけれど、反応がないモノを苛め続ける事には興味を削がれるらしく。

やがて、子供達は満足したのか、飽きたのか、いなくなっていた。

ほんと、子供って、恐ろしいくらいに、単純だね。


額から流れる血を気にすることなく、真っ先に、僕の顔についた泥をこすり落とした小春。

「せっかく綺麗な黒なのに。うちで洗ってあげる」


僕よりも泥だらけで傷だらけの小春を見て、お母さんはとっても心配してたけど、すぐに、小春と僕のために、お風呂をわかしてくれた。

…お風呂って暖かいんだ。

雨は好きじゃないけど、シャワーは嫌いじゃない。

お風呂からあがった僕に、お母さんは暖かいミルクが入ったお皿を差し出してくれた。

「お風呂に入ってる間に、ネコちゃん用のを買ってきたから、安心して飲んでいいわよ」

…美味しい。
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