君の声が、僕を呼ぶまで
「“サラブレッド”って名前にしようかなって思うんだけど」

小春が言った。

「うーん、何で?」

お父さんが、何とも微妙な顔をして尋ねる。

「こないだ、テレビで馬の特集してて。サラブレッドって、格好いいんだよ」

小春が自慢げに言ったが、

「“サラブレッド”っていうのは、名前じゃないと思うんだよなぁ…」

お父さんが更に微妙な顔をする。


「小春、名前は大事なんだから、よぉく考えて決めてあげなさい」

お母さんがそう言うのを聞いて、うーんと考えた小春が言った。

「んー、じゃあ、本当の名前が決まるまで、サラ(仮)ね」


…あれ、僕、ここの家の子になる流れなの…?

当の本人をよそに、盛り上がっている3人。


でも、僕が得たものの代償は、すぐに支払われた。
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