君の声が、僕を呼ぶまで
僕と沙羅とは幼馴染というやつ。

小さい頃は一緒に遊んでいたけど、僕が小学校の途中で転校して、離れ離れになった。


再会は中学。

親の仕事の都合で、またこの街に戻って来た時だ。

「わぁ、智秋、久しぶり!」

「沙羅、変わってないね」

「智秋も変わってない。まだ身長も私と同じくらいだし、声変わりもしてないんだね」

「気にしてるんだから、言わないでよ…」


僕が拗ねるように言うと、沙羅はふふっと笑った。

本当に悪気がない、愛情を込めた冗談の笑いって、こういうのを言うんだ。


中学のクラスには、小学校の時の友達がたくさんいて、すぐに馴染めた。

特に仲が良かった大樹は、すごく歓迎してくれて、また一緒に行動するようになって。


けど、僕の中学校生活は、徐々に、暗いモノに変わっていく。

「あいつ、オカマみたいだよな」

最初に気付いたのは、教室のドアを開けようとした時、中から聞こえてきた声。

「…?」
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