君の声が、僕を呼ぶまで
僕は何の話をしてるんだろうと思ったけど、構わずにドアを開けた。

それまで、騒がしかったクラスの皆が、急にシンとなった。

僕の方を見て笑う男子。

目を逸らす女子。


その違和感は、段々と実体化していく。


すれ違いざまに「女みてぇ」と言われた。

トイレに行くと、「お前はあっちだろ」と女子トイレの方を指さされた。


何故か、体操服が女子のモノと入れ替えられた事があった。

からかう男子達に、元の持ち主の女子が「やめてよ、何で私のを!」と怒って、「あんたも、勝手に触らないでよ、気持ち悪い」って、引ったくっていった。


女子と同じに見える様にだろうな、赤のマジックで落書きされた上履きを履いて、教室のドアを開ける。

教室の黒板に貼られている、たくさんの写真。

僕の小学校の低学年の時のものだ。


誰が提供したのかなんて、そこら中に心当たりがありすぎて。
< 239 / 389 >

この作品をシェア

pagetop