君の声が、僕を呼ぶまで
「い・い・い…飯田智秋…1年C組か…」


掲示板で、自分のクラスを確認する。

あいうえお順だと、比較的見つけやすい自分の名前だけが、今日はやけに味方に感じた。


新しい制服、新しい校舎、新しい友達…は、まだいない。

というか、出来るのだろうか。


あちこちから、仲良くなったばかりのような初々しい笑い声が聞こえてくる。

僅か1時間足らずで、教室へ一緒に行ける程にまで誰かと打ち解けられるような処世術を、残念ながら僕は持ち合わせていない。
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