君の声が、僕を呼ぶまで
何が原因で始まったのか分からなかった。

そして何が原因でパッタリ苛めが止んだのかも分からなかった。


だから、僕は、登校拒否にならずに済んだ。

もう限界という時に止んだのだから、タイミングを失っただけかもしれない。

もしくは、苛めに耐える以上に、登校拒否する勇気がなかったのかもしれない。


2年、3年と、とかく苛められないようにとばかり考えて行動してたと思う。

何1つ、楽しかった事なんて思い出せない。

沙羅ともクラスが離れてから、関わる事もなくなったし。


ようやく解放されると、待ち望んでいた中学の卒業式。

高校でバラバラになる友達や先生と別れを惜しんでいる賑やかな空気に、もちろん混じる事は出来なくて、僕は体育館裏に座り込んでいた。


…ここも、苛められてる時は、よくお世話になったなぁ


唯一、思い出に残るものがあるとするなら、いつも独り逃げてきていたこの場所かもしれない。

少しだけ、僕も卒業式らしく、センチメンタルになっていると。
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