君の声が、僕を呼ぶまで
「智秋を苛めてたの、あなたでしょ?」

私のどの口が偉そうにそれを言ってるんだろう。

彼の顔が、想いを伝えようとする羞恥の赤から、困惑、怒り、そんな複雑な赤に変わっていく様子を見ながら、冷静にそう考えていた。


苛めの発起人は、私の事が好きだったんだ。

じゃあ、気付いていたんだろう。

私が、智秋の横だと、ちょっとだけ女の子らしさが増すのを。


原因は私?

でも、誰かが誰かを好きな気持ちは、何をしても許されるの?

行動に移したのは彼。

黙って見ていて、加担したのは…やっぱり私。


そんな自分への苛立ちを、どこかにぶつけたかった。

彼が一連の苛めの元凶であると、本人に対して口に出して暴いて晒す事で、少しは悪を裁いた気分になれるとでも思ったのかな。
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