君の声が、僕を呼ぶまで
桜子に送られて帰る小春ちゃんの背中を呆然と眺めていた智秋が、

「沙羅、僕は、また逃げちゃったのかな…」

と問いかけてきた。


智秋は、何から逃げてきたの?

逃げてきたのは、私の方なのに。


私はどこまでもワガママで、自分の事しか考えてないと思う。

華ちゃんより、小春ちゃんより、陽太先輩より、今は、智秋が心配なの。


私の罪が赦されるかもだとか、打算的な事も全部含めて、私は弱い。


私の弱さは、たくさんの人を傷付けてきたし、傷付けている。
< 254 / 389 >

この作品をシェア

pagetop