君の声が、僕を呼ぶまで

●雪人が噛む、桜子の首

今日も小春は学校に来ない。

こんな時に限って、雪兄ぃは数日間の出張。


従兄弟権限。

プライベートの電話番号もメアドも知ってる。

緊急事態だからと思ったけど…。

それを使っていいか分からなくて悩んだ。

学校で起こった事は、私も一生徒として『塚原先生』に頼まなきゃいけない気がして…。


今日、戻ってくるとは言ってたけど。

気が重たい理由は、もう一つ。


「俺、沙羅にふられちゃった」

冬島先輩が言った。

「…沙羅から聞きました」

「そっかぁ」

「先輩、あの…」

「そんな顔しないでよ」


先輩の方が心配そうな顔してる。

私、どんな顔してるんだろう…。


「植木さんは優しいね」

「え…?」

ますます、自分がどんな顔をしてるのか分からない。


「違うんです、私は…」

何が、どう違って、私は、何を言いたいんだろう。
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