君の声が、僕を呼ぶまで
「やめ…んっ」

雪兄ぃが私の耳を甘噛みする。


「やるなら、これくらいやれば良かったのに」

クスクス笑いながら、次は唇で首筋に触れる。


「あぁ、そうか。こんなに桜子の服をはだけさせて、今度はそういうつもり満々だったんだね」

目の前で起こっているのが何なのか、冬島先輩は理解出来ないと言った顔で、呆然としている。


「でもダメだよ。桜子は俺のものなんだから」

「いっ…」

首筋に、軽い痛みが走る。

噛まれたような、吸われたような…。


「これ、俺のって証だから。だから勝手に手出さないでね。冬島君?」

「離してよっ」

雪兄ぃの腕の中で、必死にもがくけどビクともしない。


「ダメに決まってるでしょ。あの日から桜子は俺のものなんだから」

「…あの日?」

冬島先輩が、たくさんあるであろう疑問の中から、ふとその言葉を聞き返す。
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