君の声が、僕を呼ぶまで
妹の空が死んだ。

まだ8歳だったのに。

生まれた時から、その小さな身体で病気と闘ってた。

年の離れた妹を、俺はとても可愛がっていた。


「雪兄ぃ、今日、学校で、お友達とドッヂボールしたんだよ!」

「空、そんなに動いたらダメじゃないか」

「今はすっごく元気だから、元気なうちにお友達といっぱい遊ぶの!」

「そっか」

「それでね、空、逃げるの上手で、最後まで残ったんだよ!」

「お、すごいじゃん」

髪がグシャグシャになるまで頭を撫でると、空は満足そうに笑った。


体調を崩して学校を数日休んでいた時。

「今日も学校行けなかったなぁ」

「だから、俺が空と遊ぼうと思って、早く帰ってきたんだろ」

ベッドの上でションボリしてた空の顔が、嬉しそうな表情に変わる。


「ねーねー、雪兄ぃ、こーこーせいって、楽しい?」

俺は少し考えながら言った。

「うーん、予習も多いし、朝は早いし、授業は眠いし、購買のコロッケパンはすぐ売り切れるし、テスト期間は最悪だし…」

きょとんとしてる空。


「そうだよな、空にはまだ難しいよな、ごめんごめん」

…というか、子供相手に完全に愚痴になってたぞ、俺。
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