君の声が、僕を呼ぶまで
淡く薄くなったピンク色のベールの向こうに、ゆらゆらと揺れる人影。

風は止み、僕の視界を遮っていた最後の一枚が、ひらりと地面に落ちた。


そこに佇んでいたのは、柔らかな暖かい陽の光に包まれた女の子。

肩にかからないほどの長さの髪は、陽に透けて、綺麗な栗色をしている。



何故だろう、眩しくないのに、やたら眩しい。

淡く薄い、桜色。

今にも消えてしまいそうな…。



「あ、あの…」

思わず声をかけた僕に気付いたその子は、一瞬、身を固くし、走り去ろうとした。


「ま、待って!」


…本当に消えてしまう!

そう思った僕は、反射的に彼女を呼び止めた。
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