君の声が、僕を呼ぶまで
8歳の誕生日。

空の誕生日は、毎年、友達も親戚もたくさん集めて派手にお祝いしてる。

従兄弟の桜子も、欠かさずに来てくれていた。

年が近い2人は仲が良かった。

桜子と空は、顔の出で立ちが何となく似てる。

従兄弟でも、こんなに似るもんなんだなぁと感心するくらいに。


「桜子ちゃん、小学校、楽しい?」

小2に上がった空が、入学したばかりの桜子に尋ねている。

「うん、たのしい」

「わかんないことがあったら、空に聞いてね! 空のほうがお姉ちゃんなんだから!」


親戚の中で、桜子は一番年下。

その上は、空。

お姉ちゃん風を吹かせられる相手は桜子しかいないのだ。


「えっと、じゃあ…」

何か質問しなきゃいけないと、律儀に桜子が考えている。

「んとね、国語の教科書読んでて、日本語は、何で、ひらがなと、カタカナと、漢字があるのかなぁって」

「…えっと、それは…」

「あと、私のクラスでメダカを飼ってるんだけど、お魚はどうして水の中でも死なないのかなぁ」

「…雪兄ぃ…」

空が助けを求めるように、困った目で俺を見る。


「雪人お兄ちゃんなら、分かるの?」

桜子も俺を見る。
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