君の声が、僕を呼ぶまで
空と桜子は、性格はだいぶ違う。

空は子供っぽくて、いや、年相応で、桜子が妙に大人びているだけだ。

だけど、２人は似ている。

特に、俺を見つめている、その大きな目とか。


「桜子は、大きくなったら何になりたいんだ？」

正直、俺にも持て余す問題だったので、話題を変えてみた。

「まだ決めてないけど、お花屋さんとか、ケーキ屋さんは、可愛い」

意外にも、年相応な女の子っぽい答えが返ってきて、俺は少し驚いた。


「はいはい、空はねー、学校の先生！」

便乗して、空が大きな声で言う。

「へぇ、何で？」

そういえば、初めて空の将来の夢を聞いた。


「保健室の先生になりたいの。空は病気で学校に行けない時があるし、行っても具合が悪くなったら保健室に行かなきゃいけないし。でも、保健室の先生は優しくて、いっぱい頑張れって言ってくれるの。だから、空も保健室の先生になって、おんなじように病気であんまり学校に来れない子に、いっぱいいっぱい頑張れって言ってあげるの」


そう語る空の顔は、意外な事に、年相応でなく、大人びて見えた。
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