君の声が、僕を呼ぶまで
「雪人お兄ちゃん…」

桜子の涙声が聞こえる。


小さい子が、四十九日も経った従兄弟の法事で、改めて泣いたりするんだろうか。

今思えば、俺が泣きすぎてたから、もらい泣きしたのかもな。

でも桜子は聡い子だったから、やっぱりどっちか分からない。


とにかく、俺にはそんな余裕はなくて。

「空…」

そう繰り返す俺に、桜子は戸惑っていた。

そして、俺の頭を撫でながら、

「雪人お兄ちゃん、空ちゃんがいなくなって、私も寂しい」

と言ったんだ。
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