君の声が、僕を呼ぶまで
異物と、思われる事への恐怖。

後から来ただなんて、華の席はそこに最初からちゃんとあったのに。

中学の時、あのクラスに、華の席は確かにあった。

あの時は、誰かが、それを奪ったわけじゃなかった。


でも、華は、小春っちから居場所を取り返したんじゃなくて、ただ純粋に奪ったの?


「小春ちゃんも、自分の世界を守ろうとしている。声を閉じ込めているのは、誰かを傷付けないようにじゃなくて、自衛なんだよ」

「小春ちゃんはいつも、誰かの手を取ろうと頑張ってる。もうちょっと、もうちょっとって」


小春っち、初めて会った時、華が握手しようって差し出した手を取ろうと、震えてた。


「そうやって誰かが手を差し出してくれて、その手を取る事が出来たら、どんどん輪は広がると思わない?」
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