君の声が、僕を呼ぶまで
小学校の時にやった、手つなぎ鬼。


最初は、鬼のペアを決めるのも大変だった。

陽ちゃんが手を差し出してくれたから、華も参加する事が出来た。


なかなか、捕まえる事が出来なかったけど、やっと1人捕まえた。

3人で手を繋いだ。

そうやって、最初は2人きりで手を繋いでいだ鬼は、やがて、鎖のように一本の友達の輪になった。


あれは、鬼という皆から避けられる存在を、どんどん交代していく遊びではなく。

そして、鬼を排除する遊びでもなかった。

追いかけて手を伸ばせば、仲間が増えた。


その手を繋いで離さないのは、誰かを一方的に攻めて蹴落とすんじゃなくて、自分達の仲間を増やして、自分達の存在と居場所を守るため。

そうやって、皆で一緒に泥だらけになったんだった。


中学で、自分の手が彷徨ったのが怖かった。

でも、あの仲良しだった2人も、華を拒絶したわけじゃなかった。
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