君の声が、僕を呼ぶまで
自分から手を伸ばすのを諦めた中学の教室と違って、ここでは手を伸ばして貰えて、受け入れて貰える事が嬉しかった。

だから、ここが特別になった。


雪人先生が、おでこに手を当ててくれたのが嬉しかった。

ここでは手を差し伸べて貰えるのが当たり前で、でもそれが、華だけの特別だと思い込んでた。


小春っちも、本当は、ここで守られてるだけじゃダメって分かってるんだよね。

自分の教室に、笑いながら入りたいんだよね。

「おはよう」って、言いたいんだよね。


「小春っちに、ちゃんと『ごめんね』って言えるかなぁ…」

言葉に出す事の恐怖。


あぁ、小春っちは、そういう想いを抱えてるんだね。


…ごめんね

……ごめんね
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