君の声が、僕を呼ぶまで
「ごめんなさぁい…」


何度も何度も、ここにいない小春っちに言う。

ここに小春っちがいないのは、華が傷付けたから。

華が、小春っちの居場所を、再び声を奪ったから。



泣きじゃくる華を、雪人先生が優しい目で見てる。

桜子ちゃんは、少しだけ複雑そうな顔をしてる。

当然だよね、小春っちを、あんなに傷付けたんだもん。


「華がワガママな甘えっ子になったのは、俺のせいでもあるしな」

陽ちゃんが、笑いながら、華の頭をポンポンと撫でた。


…その目に、うっすら涙が浮かんでるの、ずっと一緒にいたけど、初めて見たよ。


華の世界は、泥んこになりながら得た、こんなにんも白くて優しいものだったのに。

ほんと、バカだ…。
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