君の声が、僕を呼ぶまで
桜子ちゃんと冬島先輩に付き添って貰って家に来た華ちゃんは、「ごめん」しか言わなかった。

きっと、「ごめん」しか言えなかったんじゃないかな…。


人はきっと、その言葉がどれだけ弱いか知っている。

でも、その言葉でしか、謝る術を知らない。


私が「ごめん」という言葉を許せなければ、傷付ける言葉がこの世からなくなったとしても、それは傷付いた世界のままなんじゃないかな…。

私は、私の世界を、傷付けたままにしたくない。


鳥のさえずり。

ポタポタ零れる雨粒。

世界に溢れる、たくさんの音。


季節は、巡る。

時間は、進む。


お母さんの優しい手。

お父さんの優しい目。

いつだって話を聞いてくれるサラ。


雪人先生。

桜子ちゃん…【サクラ】。

この世界のどこかにいる【アキ】。

華ちゃん、沙羅ちゃん、冬島先輩。
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