君の声が、僕を呼ぶまで
「飯田君、ちょっといい?」

凛とした声がした。

その声の主は、植木桜子さん。

沙羅の友達。

そして…相川さんの、友達。


「えっと…何?」

体育館の裏なんて、あまり良い思い出、ないんだけどな…。

放課後の呼び出し場所としては定番だけど、彼女に呼び出される心当たりがない。


「元気、ないんだってね。沙羅が心配してた」

「そ…っか」

僕は目に見えて元気がなかっただろうけど、沙羅も僕を心配して元気ないんだろうな。

そんな沙羅を心配して、植木さんは、僕を呼び出したのかな。


「…あと、【サラ】も、心配してた」

「……え?」

沙羅が……?

いや違う、それはさっきの沙羅で、じゃあえっと、このサラは?


「私も心配してるんだよ、【アキ】」

「植木桜子…【サクラ】…?」

「まさか、本当に同じ学校だったなんて、私もビックリした」
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