君の声が、僕を呼ぶまで
「【サクラ】も、【サラ】が誰かって、気付いてたんだね…」


思い当たる節は、何となくいくつかあって。

保健室で嬉しそうにしていた事。

保健室で嬉しい事があったと言っていた事。

『気持ち悪い』という言葉が、現実で声を閉ざしている彼女にとって、どれだけ重く残っているかという事。


僕は相川さんを見てたから。

【サクラ】も、相川さんの近くにいたから。

だから、気付いたんだ。


「僕が【アキ】だって分かったのは何で?」

「小春の事があってから『智秋が落ち込んでる』って沙羅が心配してて。智秋のその傷は自分にも責任があるからって、【アキ】の心配ばっかしてる」


…誰かが口にするのを聞くと余計に実感する。

やっぱり沙羅は、負い目を感じ続けてる。


「それで、冬島先輩と別れるって相談されて」

「え…?」

「その時に、沙羅が少しだけ、2人の中学の時の話もしてくれた。その話が【アキ】の話と一致して」
< 308 / 389 >

この作品をシェア

pagetop