君の声が、僕を呼ぶまで
「アイツ、だいぶ感情豊かになったよなぁ。小春ちゃん達のおかげかも」

桜子ちゃんの背中を廊下で見送っていた雪人先生が、保健室に入りながら笑う。


…いっぱい貰ってるのは、私の方なんだけどなぁ…

静かな保健室に、遠くから、たくさんの足が地面を踏みしめる音が聞こえてくる。

マラソン、私のクラスだ。

体操服の入った袋を横目で見る。


いつか、私もこれを着て、皆と一緒に汗と泥にまみれながら笑える日が来るように。

皆の足音が遠ざかっていく。

前へ前へと進んでいるんだね。


桜子ちゃんは、部活がない日は、一緒に帰ってくれる。

運動部は毎日大変なものだと思ってたけど、「何てったって、うちの学校の軟式テニス部だから」って言ってた。


…よく分からないけど、毎日部活じゃないみたい。
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