君の声が、僕を呼ぶまで
初めてなのに、初めてじゃないような気がした。

…きっと、学校の教室なんて、中学校も高校もそんなに変わらないんじゃないかな。


ゆっくりと、中に入ってみる。

机を指でなぞる。

あ、やっぱり、中学の時より、少し高いかも。

私の時間は、立ち止まった分だけ、止まっている。


窓を開けてみた。

綺麗な夕焼け。

朝、桜子ちゃんが言ってた通りだ。


野球部の掛け声や、吹奏楽部の演奏の音。

世界はこんなにも、音で溢れている。

ほら、この柔らかな風が揺らすカーテンも、微かな音を…


ガタンッ


また、私の心臓が飛びあがった。

音のした方を見ると…ドアのところに男の子がいた。

同じクラス…なのかな…

どうしよう、窓側にいるから逃げるタイミングが…
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