君の声が、僕を呼ぶまで
「あのっ、僕、隣のクラスの飯田智秋! 相川小春さん、僕、ずっと見てた!」

背後から、彼が叫ぶように呼びかけているのが聞こえる。


「…!?」

「僕も頑張るから、相川さんも頑張って! ずっと見てたから! ここでも―――」


最後の方は聞き取れなかった。


…私をずっと見てた?

入学式の時から?


私が気付いていないだけで、私の事を見守ってくれている人は、今周りにいてくれる人達以外にも、まだこの世界にいるの…?


夕陽が窓から差し込む廊下と階段を、朝よりも勢いよく下りながら、私は想いを巡らせていた。
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