君の声が、僕を呼ぶまで
●初めて響く、智秋の声
僕は、桜子と別れて、校舎に戻った。
「智秋、一緒に頑張ろうよ。小春も頑張ってるから…」
これ以上ないくらいに、強く励ましてくれた。
僕は、僕を越えて、彼女のために何か出来るだろうか。
荷物を取りに、自分の教室へと向かう。
静かな校舎に響くのは、部活に励む生徒達の声や音。
階段を昇る自分の足音と違って、それは遠く遠くから聞こえてきて、どこか現実味がない。
自分の影が長く伸びる廊下を歩いていると、ふと隣の教室に人影が見えた。
開いている窓から風が吹き上げて、夕陽に照らされたカーテンが大きく揺れる。
むせかえるような濃いオレンジに視界を奪われる。
目を瞑っていても瞼の裏に仄かに残っている灯りに導かれるように、ゆっくりと目を開けると。
夕陽とカーテンのベールの向こうに、淡く佇む女の子がいた。
――相川さ…小春、だ。
初めて見た日と同じ、何て儚げで物憂げな目をしているんだろう。
今、彼女は何を思って、どこを見ているんだろう。
「智秋、一緒に頑張ろうよ。小春も頑張ってるから…」
これ以上ないくらいに、強く励ましてくれた。
僕は、僕を越えて、彼女のために何か出来るだろうか。
荷物を取りに、自分の教室へと向かう。
静かな校舎に響くのは、部活に励む生徒達の声や音。
階段を昇る自分の足音と違って、それは遠く遠くから聞こえてきて、どこか現実味がない。
自分の影が長く伸びる廊下を歩いていると、ふと隣の教室に人影が見えた。
開いている窓から風が吹き上げて、夕陽に照らされたカーテンが大きく揺れる。
むせかえるような濃いオレンジに視界を奪われる。
目を瞑っていても瞼の裏に仄かに残っている灯りに導かれるように、ゆっくりと目を開けると。
夕陽とカーテンのベールの向こうに、淡く佇む女の子がいた。
――相川さ…小春、だ。
初めて見た日と同じ、何て儚げで物憂げな目をしているんだろう。
今、彼女は何を思って、どこを見ているんだろう。