君の声が、僕を呼ぶまで
「…ぁ、あのっ」
僕のその声でようやく我に返ったのか、小春は真っ赤な顔をして、今度こそ僕の横をすり抜けて教室を飛び出した。
その背中に向けて、僕は呼びかけるように叫ぶ。
「あのっ、僕、隣のクラスの飯田智秋! 相川小春さん、僕、ずっと見てた!」
彼女の足が少しだけ止まった気がした。
「僕も頑張るから、相川さんも頑張って! ずっと見てたから! ここでも―――」
画面の中だけじゃなくて、ここでも…
小春が走り去って行った廊下の先を、僕はしばらく眺めていた。
夕陽が傾いていて、自分の影が、さっきよりも長く伸びている。
その影が2つになった。
桜子だ。
「…体操服のバッグ、忘れてたから、取りに来たの」
自分の教室に入ってそれを取り、僕の方を向いて。
「智秋も、小春も、すごく…すごく頑張ってると思う」
本当に、心の底からそう思って言ってくれている。
夕陽で逆光していて、その表情はよく分からなかったけど、声だけでもそれが分かった。
僕のその声でようやく我に返ったのか、小春は真っ赤な顔をして、今度こそ僕の横をすり抜けて教室を飛び出した。
その背中に向けて、僕は呼びかけるように叫ぶ。
「あのっ、僕、隣のクラスの飯田智秋! 相川小春さん、僕、ずっと見てた!」
彼女の足が少しだけ止まった気がした。
「僕も頑張るから、相川さんも頑張って! ずっと見てたから! ここでも―――」
画面の中だけじゃなくて、ここでも…
小春が走り去って行った廊下の先を、僕はしばらく眺めていた。
夕陽が傾いていて、自分の影が、さっきよりも長く伸びている。
その影が2つになった。
桜子だ。
「…体操服のバッグ、忘れてたから、取りに来たの」
自分の教室に入ってそれを取り、僕の方を向いて。
「智秋も、小春も、すごく…すごく頑張ってると思う」
本当に、心の底からそう思って言ってくれている。
夕陽で逆光していて、その表情はよく分からなかったけど、声だけでもそれが分かった。