君の声が、僕を呼ぶまで

●命の声が、垣根を越えて、逢う世界

桜子が教えてくれた、【サラ】の秘密。

【サラ】に協力して貰えば、小春の世界はもっと広がるかもしれない。

そう思った僕は、居ても立ってもいられず、その足で小春の家に向かった。


桜子が案内してくれて、小春のお母さんに『小春の味方』と紹介してくれた。

小春のお母さんは、優しく迎え入れてくれた。

桜子には、本当に頭があがらないな…。


小春は、おつかいを頼まれたらしく、不在だった。

ちょうど良かったかも…。


お母さんに、小春の部屋へ通される。

「はい、どうぞ」

「えっ、流石にそれは…」

僕は、慌てた。


年頃の女の子の部屋に、いくら母親の許可が下りたとはいえ、本人に無断で入るなんて…。

しかも、小春にとっては、さっきちょっと関わったくらいの男の子。


そして何より…好きな女の子の部屋に1人で入るなんて…。

僕だって、これでも一応、年頃の男なんだし…。


「大丈夫よ、ここは小春だけの部屋じゃないから」

小春のお母さんは、僕が顔を赤くして躊躇っているのを察して、明るい声で言う。


あ、小春の淡い栗毛色の髪は、母親譲りなんだな…
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