君の声が、僕を呼ぶまで
「小春がくれたクロ猫柄の絆創膏は、誰よりも傷付けられる怖さを知ってる小春から貰ったからこそ、僕の傷にも優しいお守りになった」


塚原先生を経由して貰った絆創膏。

震えながらそんな事をするくらいなら、最初から僕の事なんか放っておけばよかったのに。

それでも、何かに脅えながらも、これをくれたんだなぁって。


「これ、この絆創膏のクロ猫。サラもずっと僕を守ってくれてたんだね」

サラが「ニャー」と鳴く。


やっぱりサラの言葉は分からないし、サラも僕の言葉は分からない。

「お願いだよ、サラ。僕もサラや皆と同じように、小春の力になりたいんだ」

それでも、聞いてほしい。


「小春に何度でも伝えてほしい。サラや小春の家族と同じように、小春の味方は小春が思ってるより、もっといるって。僕も桜子達と同じように、小春が学校でも笑えるようになって欲しいって思ってるって」

サラは、また琥珀の瞳で、ジッと見ている。


本当だね。

声が出ようと出まいと、言葉が伝わらない事は、こんなにも、もどかしい。
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